バラバラな通過位置や極小物体でも検知可能なセンサ

Area51 開発編

イチロー選手の守備が「エリア51」とメジャーリーグで賞讃された訳

皆さんは、アメリカメジャーリーグで長年にわたり大活躍をされたスズキ・イチロー選手をご存じですよね。
彼はバッティングや出塁で大きな記録、そして記憶を残していますが、それ以上に守備でもメジャーリーグファンの度肝を抜くプレーを文字通り「魅せて」来ました。その広範囲な守備は「エリア51」(米軍基地名称とイチロー選手の背番号51にちなんで)と称され、彼が守備でスーパープレーを出したときに、スタンドには「エリア51」と書かれたプレートが多く掲げられていました。
イチローの守備が一体どれくらいすごいかは、捕球に優れた選手に贈られる日本プロ野球の「ゴールデングラブ賞」、そしてメジャーの「ゴールドグラブ賞」を1994年から通算17年連続で受賞していることでも、お解り頂けるかと思います。広範囲に飛んでくる小さな野球のボールを、時にはスライディングし、時にはフェンスによじ登ってキャッチする姿は、「ホームラン」や「サヨナラゲーム」に勝るとも劣らぬ興奮を我々に与えてくれました。   ※詳しくお知りになりたい方はWikiペディアなどをご参照ください。

 

フォトセンサー界のイチロー「高詳細エリア通過センサ」の登場

さて、広範囲に小さなボールと言えば、フォトセンサーにも同じような物が存在します。

それは2020年にネプコンジャパンに参考出品として展示された「高詳細エリア通過センサ」です。長辺30 X 短辺26mmの矩形範囲を通過する物体であれば、色や形にかかわらず最小φ0.7mmまで検知することが出来、今後多くの用途に採用されることが想定されます。
この、広範囲の小さな玉を捕捉する様はフォトセンサー界におけるイチロー選手の様な存在とは、言い過ぎでしょうか。

通常、エリアセンサと呼ばれるのは分離型フォトセンサを2本のバーの中に並べ、対向するバーの内側を通過する人などの大きな物体を検知するセンサーが主です。 しかし、この「高詳細エリアセンサ」は小さな板片に四角い窓が空いた形状で、その内側を通過する様々な物体を検知するセンサーです。
一般的に、フォトインタラプタや分離型フォトセンサでは、設定された光軸を遮らなければ検知が出来ません。ところが、このセンサーは小さな物体がエリア内のいかなる場所を通過しても、検知することが出来ます。故に、これまでのセンサーが解決できなかった次のような課題を抱えた技術者の方には、うってつけのセンサーと言えるのです。

【 解決できるセンシング課題 】
  • 通過する物体が小さすぎて検知できない
  • 通過する物体の大きさや形がバラバラで適切なセンサが選定できない
  • 通過する位置が不確定で適切なセンシングが出来ない

《落下物サイズの検知例》注意:参考資料です。諸条件により結果は異なります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブレイクスルー・ポイント

実現した背景には、エリア内の感度を均一化する光学技術の開発があります。
通常、複数の光軸を持つセンサでは光軸の感度と光軸間の感度は大きく異なります。
それを無くすために複数のレンズを駆使ししております。
小さな物体を検知するにはエリア内の感度の均一化が必要不可欠でありそれを実現しているのが大きな特徴です。
エリア内部で発生する散乱光や反射光を極力発生しないように抑える事がポイントになっております。

 

新しい付加価値はいつも常識という水面下に潜んでいる

上記のようなセンシングの課題は以前までのセンシングの常識に照らせば検知不可能とされていたので検討から外されている場合があります。ただ、裏を返せば「まだ見ぬ付加価値」であり、設計次第では大きなアピールとなる可能性にあふれています。
このブログを目にした方の「新たな挑戦」に関われることを願っています。